

01 泳園の人たち
02 今眩しくて
03 サンダル
04 やさしい魔法
05 きれいな模様
06 土と星
07 よるの
08 なんだかわからないな
09 橋の途中
10 秘密の
11 朝7時
12 窓を閉じたらおやすみ
【 CD 】 KOUNEN RECORDS / KOUR-001 / 2019.08.05
公園でCDの写真を撮ろうと、速攻木から落下させて中身まで飛び出して朝から「あ”ーあ”ー」言っていたけど、モノの良さはそういうことだろうと思ってきている。重さがあって、キズもつくし、CDはただの耳から入る情報ではなくて、永久では無いなにか。
佐野千明の絵、そして写真もよい。こんなになんでもない一瞬を撮れないし、撮っても取れないし、稀にやはり女性に多いかもしれないなんの下心も無くさらっと空気を残せるタイプの。そんなこと思いながらブックレットと歌詞を見てたら、ああ、歌も正にそうなんだなと気づいた。なんでもない空気を、いわば「退屈」を音に記憶させることができるのが佐野千明の歌だ。
ほぼ弾き語りだった前作と比べて、バンドサウンドやエレクトロなど音数がぐっと増えた変化は、「白」や「テシモタシー」など佐野がずっと前にやっていたバンドの(消えそうな)火が再び灯ったような感覚であたたかくなるし、何も変わらないなりに、一番変わったのはきっと「ベース」。
前作のレビューに「消えてしまいそう」と書いたが、このアルバムにはそれは感じられない。ぽーっと幽体離脱のように日常の宙に浮かぶ旅がまだたまーにあったとしても、今は帰ってくる場所がある。この6年間で宿ったはずのそんな重心が鳴っている。
何年も待っていた佐野千明のニューアルバムが目の前にある。それがだけでうれしいのに、もうすでに、あんなに好きだった『屋上の終集合曲集』よりも好きになってることが不思議で、さらにうれしい。
佐野千明 2nd album "光年" ダイジェスト
https://www.youtube.com/watch?v=9l20ZJBGdpk
入荷 : 2019.08.20